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各診療科・各部門紹介

 中央検査部門 細菌・結核検査室

神戸市西地域の中核病院としての急性期医療および結核医療の2面性をもつ総合病院であるため、従来の総合病院に設置されている細菌検査室に加え、結核検査室を設置し専門的に検査を実施しています。

微生物担当の臨床検査技師の役割は?
(1) 病原微生物の検出
(2) 抗生物質(抗菌薬)の感受性検査の実施
(3) 院内感染防止対策への貢献

細菌・結核菌と臨床検査技師との関わり
一般細菌や結核菌は微生物に分類されます。微生物はそれ以外にもカンジダやアスペルギルスなどの真菌、インフルエンザウイルスや麻疹ウイルス、肝炎ウイルスなどのウイルス、さなだ虫やマラリアなどの寄生虫も含まれます。私達は、そういった細かいあるいは顕微鏡下でしか確認できない微生物を培養という手段を用い人工的に増殖させることで確認検査をしています。
細菌には結核菌や赤痢菌などのように非常に強い病原性をもつ菌や大腸菌や黄色ぶどう球菌などヒトに常在しているが時として病原性を示す菌、ビフィズス菌やこうじ菌のようなヒトに対して有益な菌など多種存在します。ヒトに有害な菌つまり”ばい菌”について検査して患者さまの今後の診療方針に役立てていただいています。
当院の細菌検査室は臨床検査技師により病原菌と言われる悪玉菌を検査することを目的に設置されています。検査の内容は悪玉菌の種類を調べてやること、どういった抗生物質(抗菌薬)に効果があるのかなどを検査するといったことが主なものになっています。
また、医療レベルの向上とともに免疫力が低下しても感染症で亡くなるということは少なくなってきましたが、易感染患者の増加とともに院内で発生する特有の感染症である院内感染が問題になる機会も増加してきています。私達、臨床検査技師はこういった院内感染の病原菌をいち早く検出し、院内感染防止対策に貢献しています。

病原菌の紹介
市中肺炎肺結核と塗抹検査
市中感染と院内感染
市中感染とは、『通常の社会生活を送っている健康な人(高齢者あるいは基礎疾患を有している患者さまも含む)に発症する急性の感染症』のことで、通常強毒菌が多いものです。一方、院内感染は『病院における入院患者さまおよび外来患者さまが原疾患と異なり新たに病院内で罹患した感染症、または医療従事者が病院内で罹患した感染症』のことを指しMRSAが代表的な菌です。
市中感染の中の細菌性肺炎(市中肺炎)
● 市中肺炎の病原微生物
市中肺炎とは市中感染の中で急速に発症する感染症の一つで、多くは風邪症状に引き続き、高熱、咳嗽や喀痰などの呼吸器症状が増悪して起こる肺実質の炎症のことを指します。
  市中肺炎の起炎菌は、石田らの報告によると肺炎球菌によるものが最も多いと報告されています。
● 肺炎球菌性肺炎の細菌検査
肺炎球菌は健康な人でも上気道に常在菌として保菌しています。この肺炎球菌が風邪症状後に二次感染を起こし肺炎を引き起こします。高齢者に特に多く見受けられ、重症例や敗血症などを起こし予後不良になることもあります。
  肺炎球菌性肺炎時の喀痰は鉄錆色の赤茶けた膿性痰を喀出することもありますが、通常は黄色の膿性痰であることが多いです。
  私達、臨床検査技師は塗抹検査、培養・同定検査、感受性検査という内容で、肺炎球菌の検出・同定および抗生物質(抗菌薬)に対して効果があるかどうか検査します。
● 塗抹検査による肺炎球菌の検出
喀痰肺炎球菌グラム染色は細菌の細胞壁や外膜を特異的に染色できる方法で、起炎菌の種類や炎症所見の像を判断するものに用いられています。
  肺炎球菌はグラム染色では青色(陽性)に染まるやや細長い球菌で、普段は対をなして観察されることが多く双球菌とも言います。また、莢膜(白血球に貪食されたときに消化されにくくする作用を持つ)が観察されることもあります。
● 培養・同定検査による肺炎球菌の検出
肺炎球菌は血液寒天(ヒツジの血液を添加した寒天)に緑色をした集落を形成します。口腔内の常在菌とは異なり、自己融解酵素という酵素を産生するので他の菌と鑑別が可能です。莢膜を多量に産生するもの(株)はムコイド状と呼ばれる光沢のある大きな集落を形成します。疑われる集落は胆汁酸溶解試験やオプトヒン感受性試験のような性状検査から肺炎球菌と同定します。
● 尿からの肺炎球菌性肺炎の診断検査
陽性例(左)と陰性例(右)
Now肺炎球菌最近の診断検査にも医療技術の向上により新たな診断技術が導入されるようになってきています。その一つとして肺炎球菌の莢膜部分の抗原が尿中に代謝物として排泄されるので、その物質を検出しようとする検査が可能になってきました。
従来の臨床検査は血液検査などの患者さまには侵襲性のある検査によるものでありましたが、尿という非侵襲性の検査材料を使用して肺炎球菌性肺炎の診断が可能です。
ただし、感染症を起こしていれば全て検出できるわけではないのですが、有用な診断検査と言えます。
● ペニシリン(PCG)耐性肺炎球菌
近年、抗生物質(抗菌薬)の多様化とともに、色々な薬剤に対して効きが悪くなる耐性菌による感染症が問題となることも多くなってきました。肺炎球菌もその一つで、従来感受性のあったペニシリンに対し耐性を獲得した菌による市中感染も増えてきています。ペニシリンの耐性は細胞壁の変異によっておこり、ペニシリンの菌に対する効果がやや劣るものであります。通常の肺炎であればペニシリンで治療が可能な場合もありますが、中耳炎や髄膜炎などの抗生物質(抗菌薬)の効き目が悪い(移行性の悪い)臓器での感染症の場合に問題となることが多いです。
  兵庫県下ではペニシリン耐性菌(中等度感受性菌含む)は7割程度検出されていますが、地域差はあるようです。阪神地区や神戸地区のような都市部では耐性菌は多く検出されていますが、淡路地区では耐性菌が少ないようです。流通している抗生物質(抗菌薬)の量にも関係しているかもしれませんが、一般に使用頻度が多いと耐性菌を招くようです。抗生物質(抗菌薬)は私達に対して有益でありますが、このように不利益をもたらすこともあります。各地域別PCG感受性菌検出状況
2002年度兵庫県微生物検査ネットワークのサーベイランス資料より。
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肺結核の喀痰塗抹検査について
● 肺結核の症状
結核は、せき、たん、発熱、疲労感など風邪に似た症状が現れます。せきやたんが2週間以上続くような場合には、結核も疑って必ず医師の診察を受けましょう。神戸市 新規発生結核患者数
神戸市保健所 結核ハンドブックより
● 肺結核の検査
肺結核の診断は、主として喀痰の検査と胸部レントゲン検査で行ないます。まず、胸部レントゲン写真により、肺に陰影や空洞があるかどうかを調べます。特に痰を顕微鏡で観察して結核菌がいるかどうかを調べたり(塗抹検査)、4〜8週間人工的に培養をして結核菌がいるかどうかを調べる(培養検査)細菌検査が重要です。喀痰の中に結核菌が多量にある場合(塗抹陽性者)は、他の人への結核を伝染する力(感染力)が強いと考えられます。
● 塗抹検査の感度と限界
肺結核の診断で用いる喀痰の塗抹検査は、結核菌が多量にある場合は直ぐに結核菌の有無が確認できますが、全てがそうではありません。図に示したように、肺のレントゲン像で結核を疑う(もしくは結核と判断できる)患者さまのうち約半数程度しか塗抹検査は発見(塗抹陽性)されません。また、この塗抹検査で発見されない(塗抹陰性)(結核であるが、多量に菌を排菌していない患者さま)場合でも約20%くらいは他の人に伝染するようです(Lancetより)。塗抹が陰性であっても結核は油断できない病気です。
塗抹陰性患者における結核菌の伝播する割合
塗抹検査の感度はどれくらい
● 結核菌核酸同定精密検査(PCR検査)
PCR検査結核菌は普通の細菌と違い、増殖に時間がかかります。細胞が2つに分裂する時間は大腸菌の50倍程度も遅いため検査には時間がかかります。ただ、昔と違い検査技術が発達したおかげで検査にかかる時間も短縮されてきました。それがPCR検査です。このPCR検査とは結核菌の菌体内にある極微量なDNA(デオキシリボ核酸)をある特別な手法で増幅し菌がいるかいないか検査をします。もし、結核菌が存在すればわずか数時間で検出が可能な優れた検査です。


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